みやざき農業日誌

株式会社 風土のスタッフブログです。
風土スタッフの日々や、野菜に関する記事を記録していきます。


農業政策

8月30日は衆議院議員選挙の日です。
風土としてはやはり農業政策が気になります。
そこで、今日は民主党と自民党の農業政策を抜粋してみました。
雇用・経済等の他の政策との関連もあるでしょうから、
ここだけ抜粋するのは違和感がありますがそこはご容赦ください。

政策の抜粋は後述します。

さて、民主党の政策は、1.4兆円の財源で「戸別所得補償制度」を実施し、農家の収入を底上げするものです。
ただ単にバラまくと、「要は植えればよい」という風潮になり、まさに現在の減反政策の二の舞になりますので、
評価基準を設けようとしているようです。
誰が、どういう基準で、どうやって評価するのかが課題となりそうです。

そもそも現在の農業とは、経営の効率化を図り、高品質で多収量を実現した人が勝ち残る、
非常にフェアな産業とも言えると思います。
一方で、様々な要因で疲弊している人達や地域があるのが現状ですので、
その要因を探り、解決する政策が必要ではないでしょうか。

また、「食品トレーサビリティシステム」を確立するとありますが、
"事後にトレースできることが安全である"という考えを変える必要があるでしょう。
例えば、農薬の使用方法や安全性の確保について、農薬を使う人が学べる環境を作ったり、
農薬を使用するのに一定の資格や免許を設ける等して安全を追求することも必要でしょう。
一つ間違えると人命に関わる農薬を扱うのですから。
ただし、「お前は末っ子でデキが悪いから実家の農業を継ぎなさい」的な風潮を
良しとしてきた産業ですので(もちろんそうでない人達も大勢いますが)、
資格や免許といった手段を用いると、反発は相当なものだと思います。


自民党は、食料自給率50%を目標とし、意欲ある農家に金銭的な支援を行うという政策です。
意欲ある農家かどうかを判断するのには、恐らく「事業計画」を提出させたり、
また提出済みの認定農業者を優先させるのだと思います。
しかし、自治体フォーマットの事業計画を農家に記入させたところで、
その農家の意欲や成長性の見極めができるとは思えません。バラまきになる予感がします。

意欲ある農家だからこそ負担するようなモノ、例えば「液肥」「活性剤」「ホルモン剤」や「燃料」、
「良質な堆肥」や「特殊な機械」等が、意識することなく安く導入できる仕組みを作って欲しいものです。
余談ですが、このような代物は眉唾なものもあり、高額な液肥等が売られているのを目にします。
効果が実証されないものは排除命令すべきでしょう。

また、相続税についても触れていますが、そもそも農業生産法人は非課税であるべきだと思います。
宗教法人が非課税であるならば、野菜を作る職業も同じく神聖な職業だと思いませんか?

どの党の政策にも言えることですが、5W1Hがほとんど無いために具体性に欠ける印象です。
「推進する」とか「強化する」とか、「充実させる」とか「取り組む」とか。
いつまでに、誰が、どうやって、どれだけ推進して、それをどうやって評価するのか、
民間の企業なら当たり前のことが書かれていないのは残念極まりないです。

今回は苦言を呈しただけになってしまいましたが、明日は風土の求める政策を書いてみたいと思います。

民主党
http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2009/index.html#pdf

31.戸別所得補償制度で農山漁村を再生する

【政策目的】
○農山漁村を6次産業化(生産・加工・流通までを一体的に担う)し、活性化する。
○主要穀物等では完全自給をめざす。
○小規模経営の農家を含めて農業の継続を可能とし、農村環境を維持する。
○国土保全、水源かん養、水質浄化、温暖化ガス吸収など多面的な機能を有する農山漁村を再生する。

【具体策】
○農畜産物の販売価格と生産費の差額を基本とする「戸別所得補償制度」を販売農家に実施する。
○所得補償制度では規模、品質、環境保全、主食用米からの転作等に応じた加算を行う。
○畜産・酪農業、漁業に対しても、農業の仕組みを基本として、所得補償制度を導入する。
○間伐等の森林整備を実施するために必要な費用を森林所有者に交付する
 「森林管理・環境保全直接支払制度」を導入する。

【所要額】
1.4兆円程度

32.食の安全・安心を確保する

【政策目的】
○国民が安全な食料を、安心して食べられる仕組みをつくる。
○食品安全行政を総点検する。

【具体策】
○食品の生産、加工、流通の過程を事後的に容易に検証できる「食品トレーサビリティシステム」を確立する。
○原料原産地等の表示の義務付け対象を加工食品等に拡大する。
○主な対日食料輸出国に「国際食品調査官(仮称)」を配置して、輸入検疫体制を強化する。
○BSE対策としての全頭検査に対する国庫補助を復活し、また輸入牛肉の条件違反があった場合には、
 輸入の全面禁止等直ちに対応する。
○食品安全庁を設置し、厚生労働省と農林水産省に分かれている食品リスク管理機能を一元化する。
 併せて食品安全委員会の機能を強化する。

【所要額】
3500億円程度

51.緊密で対等な日米関係を築く
○日本外交の基盤として緊密で対等な日米同盟関係をつくるため、主体的な外交戦略を構築した上で、
 米国と役割を分担しながら日本の責任を積極的に果たす。
○米国との間で自由貿易協定(FTA)の交渉を促進し、貿易・投資の自由化を進める。
 その際、食の安全・安定供給、食料自給率の向上、国内農業・農村の振興などを損なうことは行わない。
○日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む。


自由民主党
http://www.jimin.jp/sen_syu45/seisaku/2009_yakusoku/index.html

■ 国内農業生産を強化し、農家所得を増大させる
 食料自給率50%を目指し、考えられる全ての対策を講じ、努力する農家の経営を支え、
 所得最大化を実現するとともに、農山漁村を活性化するための政策を着実に実施する。
 これらの施策は、全ての意欲ある農家を支援対象とし、面積・年齢要件は撤廃する。
 平成21年度は補正予算も含めて十分な予算を確保した。
 今後も、永続的に毎年必要な予算を確保し、内容を充実させる。

■ 国民の貴重な財産である農地をフル活用
 自給率を向上させるため、耕作放棄地や不作付け地を解消し、二毛作ができる地域では
 二毛作を進めるために思い切った支援を行う。
 自分の農地を荒らしたくないという人が安心して貸すための支援及び、
  農地を増やして経営を拡大したい人への支援を充実する。
 相続税対策にも取り組む。
 雇用を増やし、農業の生産力増強に資するよう、地域の希望に沿った農村公共事業を充実させる。

■ 国民の求める農産物を安定供給
 水田では、必要量に合った主食用米を作るとともに、麦や大豆といった
  国内で不足している作物の生産を振興する。
 さらに、米粉や飼料用米等「水田としての利用」をしながら生産調整にもなる取組みで
  十分な所得をあげられるよう重点的な支援を拡大する。
 米の生産調整は、不公平感などの改善を図りつつ、豊作などによる価格下落があっても
  経営に影響させないようにする措置を充実する。

■ 野菜・果樹・畑作農業を振興
 野菜・果樹・畑作農業の経営を安定・発展させるための支援を充実する。自然が相手であることに十分配慮し、
 価格の変動対策、新しく植えた品種で所得を得られるまでの経営対策を行うとともに、
 機械などのリースによる導入支援、借入金対策や新たな事業展開を支える融資、
  燃油や肥料の高騰対策も継続する。

■ 畜産・酪農業を振興
 畜産・酪農業の経営を安定・発展させるための支援を充実する。生き物相手の産業であることに十分配慮し、
 子牛の資質向上対策や肥育経営対策を行うとともに、機械などのリースによる導入支援、
 借入金対策や新たな事業展開を支える融資、燃油や肥料の高騰対策も継続する。

■ 食品の高付加価値化、流通の高度化
 都市農業の振興、地産地消、都市での農畜産物直売、産直、農商工連携、食育などを強力に進めるとともに、
 学校給食での地場農畜産物の利用を拡大させる。
  さらに、世界の市場に日本の農産物輸出を進めるよう支援する。

■ 農山漁村の保全と発展可能性の実現
 洪水防止機能や景観、文化創造を含めた農山漁村の多面的機能を維持していくため、
  国としての支援を充実する。
 中山間直接支払制度、農地・水・環境対策については、新たな観点も入れて充実・強化する。
 鳥獣害対策を進めるとともに、バイオ燃料、太陽光発電、水路を活用した水力発電、
  木質バイオマスを支援する。
 花粉症緩和米をはじめとした国民の健康増進に貢献する新たな食品の実用化など
  将来を見通した開発支援を進める。

■ 地球温暖化を防止し、豊かな自然環境を提供するわが国の森林について国有林も民有林も間伐などの
  森林の整備や治山事業を行う。
 貴重な森林を維持している森林所有者の負担のない事業を拡大する。
 また、公共施設・住宅から紙・割りばしまで国産材の利用率50%を目指す。
 緑の雇用を推進するとともに、木材価格の安定化のための制度を導入する。
 海外において違法に伐採された木材が流通しないよう違法伐採対策にも取り組む。

■ 漁業・養殖業の収益性向上や燃油・資材価格の変動にも対応しうる安定した経営の確立、
  新規就業の促進により水産業の体質を強化する。
 流通経路の確保・魚食文化の復活・地産地消の取組み支援を行い、国産水産物を安定的に供給する。
 漁場の生産力向上に資する事業を重点的に実施するとともに、大型クラゲなどによる
  漁業被害対策等を通じて水産資源の管理・回復を進める。
 また、生産基盤である漁港整備や防災力強化、生活環境の向上による安全で活力ある
  漁村づくりを推進するとともに、藻場・干潟などの保全活動の促進等により水産業・漁村の有する
  多面的機能を発揮させるほか、離島漁業再生の取組みを行う。

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プロフィール

株式会社風土 社長 濱口陽行(ふうどしゃちょう はまぐちたかゆき)

1975年10月6日、東京都生まれ高知県育ち。普通科高校~大学法学部からIT関連のセールスを経て2008年10月1日に農業生産法人である株式会社風土を設立。

おいしいを、作ろう 株式会社風土

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