みやざき農業日誌

株式会社 風土のスタッフブログです。
風土スタッフの日々や、野菜に関する記事を記録していきます。


かぼちゃの残留硝酸

あるお客様が来られた際、残留硝酸(NO3-)を測定する道具をお持ちだったので、
厚かましくもこれ幸いと、風土のかぼちゃの残留値を調べてもらいました。

ちょうど強風で葉が倒れ、お日様に照らされて日焼けしてしまった
収穫まであと数日かなと思うかぼちゃがありましたので、これを利用することにしました。

検体数が1個だったため、肥料別、着果後日数別、風乾日数別etc.のデータは取れませんでしたが、
今回の試験では240ppmという結果を得ることができました。
ホウレンソウやレタス等の葉物野菜は2,000~3,000ppmの値を指すことが多いようですので、
果菜類がいかに少ないかが分かります。

さて、硝酸態窒素に関する誤解は多く、想像するにこんな感じではないかと思います。

1. 硝酸態窒素が多く含まれる食品を摂取すると、ガンや健康被害に遭うらしい

2. 硝酸態窒素が多く含まれる野菜は、苦味が強くて美味しくない

3. 有機栽培や特別栽培で作られた野菜は、残留する硝酸態窒素が少ないような気がする

4. 化成肥料には硝酸態窒素が多く含まれ、その肥料で作られた野菜には
  硝酸態窒素が多く残留してしまうそうだ

5. 野菜は硝酸態窒素のみを吸収する

風土の考える硝酸態窒素は、生産者という立場から5から遡って考えるとこうなります。

5. 野菜は硝酸態窒素のみを吸収する

  →アンモニア態窒素も吸収します(と、肥料屋さんから聞いた)

4. 化成肥料には硝酸態窒素が多く含まれ、その肥料で作られた野菜には
  硝酸態窒素が多く残留してしまうそうだ

  →化成肥料には安価なアンモニアが多く含まれます。瞬発的に硝酸態窒素を施用する局面では
  「スーパーノルチッソ(最近は「さくら」とか「アクア」とか商品名が変っています)」等の
  高級な肥料を使うことがあります。

3. 有機栽培や特別栽培で作られた野菜は、残留する硝酸態窒素が少ないような気がする

  →美味しい野菜をたくさん採れるように育てるには、その野菜の健康管理が一番です。
  人間に例えると、体を動かすこと、食べ物、環境などでしょうか。
  肥料が少なすぎると生育不良を起こしたり、病気になりやすく、
  また多すぎても同様の症状が出るため、何事も腹八分目が一番と考えます。
  また、「有機栽培で使えます」的な肥料も、原料や製造方法を聞くと
  「それ化成じゃん」って事もあったり無かったりします。
  有機という名目できゅう肥を10aに10t施用は、土壌と地下水の汚染でしかありません。
  いずれのケースも具体的には言いません。

2. 硝酸態窒素が多く含まれる野菜は、苦味が強くて美味しくない

  →とまあ無理して作ったりすると、何事もうまくいかないのが世の習わしでして、
  そういう野菜の残留値を調べると、他より多い(利用できていない)窒素が
  検出されるのではないでしょうか。
  肥料の施用量以外にも検討すべき項目はたくさんあると思います。
  とはいえ自然が相手なので、終わることのない道に乗ることにはなりますが。

1. 硝酸態窒素が多く含まれる食品を摂取すると、ガンや健康被害に遭うらしい

  →ガンや健康被害は、高濃度の硝酸を大量に、という特殊なケースであると考えます。
  今まで通り、サラダやおひたしは適量を美味しく食べていただき、健康管理に努めてください。
  また、これからの季節はかぼちゃが美味しゅうございます。硝酸値はもともと低いので、
  それでも気になる方はかぼちゃや根菜類をどうぞ(宣伝)。

まとめますと、生産者にとって重要なことは、

A. 肥料とは何か、どうやって作られ、どのように吸収、利用されているのかを理解して使う事。

B. その野菜の健康を維持するのに、どれだけの肥料が要求され、どれだけ利用されるのかを観察する事。
  意外と安価にEC計が手に入るので、作付前や追肥前に測定しておくと良いです。

C. 野菜の健康状態、生理状態を、分からなくても良いから想像してあげること。
  収穫時の姿や味を楽しみにすること。

ということであり、○○の肥料が良いとか、□□の堆肥(ウンチ)が良いとか、
××さんが使っているこんな資材があるよとか、そういうことはA・B・Cが出来た後での話でありまして。
逆に出来る人は求める肥料や堆肥が手に入らなくても、美味しい野菜が作れるのだと思います。

ショウガの追肥日と量を検討しているところ

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プロフィール

株式会社風土 社長 濱口陽行(ふうどしゃちょう はまぐちたかゆき)

1975年10月6日、東京都生まれ高知県育ち。普通科高校~大学法学部からIT関連のセールスを経て2008年10月1日に農業生産法人である株式会社風土を設立。

おいしいを、作ろう 株式会社風土

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