株式会社 風土のスタッフブログです。
風土スタッフの日々や、野菜に関する記事を記録していきます。
今年は少雨のためアブラムシが多く、モザイク病が散見されます。
風土のWebサイトの検索キーワードは「モザイク病」がずっと1位ですので、
今回はこの病気を大々的に取り上げてみたいと思います。
モザイク病に関して、疫学的なことはWikipediaやその他のサイトが
参考になりますので、ここではあまり触れません。
「実際に畑でどうするか」といったことに主眼を置いてみます。
見た目
モザイクウイルスに侵されると、葉がモザイク上に斑模様となります。
特に成長点付近は葉の委縮が激しくなります。
経路
ウイルスの混入経路としては、1.アブラムシ、2.コナジラミ、3.人間の手やハサミ
が主なものとなります。
順番としては、1によって畑に進入し、3で拡散というパターンが被害甚大となります。
(害虫の発生状況を見て、2も警戒する必要はあります)
侵入のプロセス
モザイクウイルスを保持したアブラムシの成虫が畑に飛んできます。
美味しそうなかぼちゃの樹液を吸うために針を刺した瞬間、
ウイルスが畑に侵入する機会が生まれます。
こうして、ある株が発症すると、そこで幼虫から成虫になったアブラムシが
隣の株に移動し産卵、の繰り返しで徐々に広がります。
アブラムシは、幼虫の間はほぼ移動を行わず、成虫になってもその移動距離は短い為、
いきなり畑のあちこちに広がることはあまりありません。
ただし、ウイルスが入ったもののまだ病状が顕在化していない株を剪定してしまった時、
人間の手やハサミにウイルスが付着し、隣へ隣へとうつしてしまう危険があり、
発症株を見つけた時点で、剪定前なのか、剪定中なのか、剪定後なのかで
3による拡散の度合が変わってきます。
予防法
絶対に侵入させたくない場合は、アブラムシやコナジラミを防除し続ければ良く、
具体的には5~6日に1回の農薬の散布をし続けることになります。
(実際にはそういうわけにもいきません)
基本中の基本として、畑の周囲の草刈を行います。
緑色の濃い雑草には硝酸態窒素が多く、栄養価が高いためアブラムシが
密集しやすい傾向にあると思います(ギシギシ、セイタカアワダチソウ等)。
が、お隣の畑がきっちりと管理されているとは限らなかったり、
すぐ近くに藪や土手等があったりすると、あっさり畑に入ってきてしまいます。
(地域で一体となって雑草を刈らないと、荒れている所が繁殖地となってしまうのです)
アブラムシの駆除
アブラムシを発見した場合は、1回目の農薬の散布を行います。
1回目の防除で逃した「卵」が孵化し、孵ったアブラムシが次の産卵を行うまで
1週間ほどかかるため、1回目の散布から5~6日後を目安に2回目の防除を行います。
これでほぼ、畑からはアブラムシがいなくなります。
アブラムシそのものは農薬に弱く、簡単な農薬での駆除が可能です。
代表的なものを列記します。
有機リン系
ディプテレックス乳剤
スミチオン乳剤
EPN乳剤
マラソン乳剤
合成ピレスロイド系
アグロスリン乳剤
アディオン乳剤
カーバメート系
ラービンフロアブル
ランネート45DF
ネオニコチノイド系
ダントツ水溶剤
アルバリン顆粒水和剤
アドマイヤーフロアブル
モスピラン水溶剤
モスピラン水溶剤以外は、ミツバチも殺してしまうため、
できれば午後以降、ミツバチの活動が終わってからモスピラン水溶剤で
駆除することが望ましいと個人的には思います(高価な薬ですが)。
また、アブラムシは葉裏にいて農薬がかかりづらいため、
浸透・移行・深達の効果がある展着剤を併用するのが効果的です。
発病株の処理
やむを得ずモザイク病にかかった株を見つけた場合は、その株を撤去します。
万が一、根や葉、茎に見えない傷があった場合は、そこが侵入経路となりますので
病株が健全株に触れないよう、できるだけ慎重に持ち出します。
また、その畑は発病が顕在化していない株もあることが予想されますので、
剪定中であれば剪定を数日間中断することや、
ハサミを消毒しながら剪定する等の対策が必要です。
発病後の経過
そのまま放置しておくと、激しく葉が委縮し、ツルが伸びなくなります。
症状が軽い場合はちゃんと成長することもありますが、
モザイク状に黄色くなった部分は葉緑素が破壊されていますので、
光合成の能力が落ちて果実の肥大や充実が悪くなったり、かぼちゃの形が変形します。
また、ウイルスは成長点の方向へ進行します。
逆に考えると、株元の方向へは進まないことが言えます。
そのため、軽度の感染であることが条件ですが、本ヅルに発病が見られた場合は、
そのツルを根元から切断し、別の小ヅルで着果させることが可能です。
ただし、本ヅルに比べて肥大が少なかったり、そもそも着果が遅れてしまうことは
覚悟しておかなくてはいけません。
さらに、基本的には傷口が無いと感染しませんので、アブラムシを駆除し、剪定が終わっていれば
放置することも可能です。
ただし、風で葉が激しく触れ合う株元で発病した場合は、風による傷で
どんどん隣へと伝染するため、やはり撤去が望ましいと思えます。
かぼちゃを作るにはアブラムシ、テントウムシ、ミツバチの共生関係を考えながら
防除に努めないといけません。
栽培の中間地点ではウリハムシ、ヨトウムシ、ミバエ(中山間地域のみ)の害を
受けることもありますので、3ヶ月間気が抜けない日々が続きます。
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1975年10月6日、東京都生まれ高知県育ち。普通科高校~大学法学部からIT関連のセールスを経て2008年10月1日に農業生産法人である株式会社風土を設立。